この曲は《フランス組曲》第5番 ト長調 BWV 816の第4曲です。フランス組曲は1722年頃、再婚間もないバッハが妻アンナ・マグダレーナを喜ばせるために書いた作品で、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」に収録されています。「フランス」という名称はバッハ自身によるものではなく、温かい愛情のにじむ軽やかで優雅な雰囲気から後世の人々がそう呼ぶようになりました。
ガヴォットはフランス南東部ドーフィネ地方発祥の舞曲で、ルイ14世の宮廷で流行しました。最大の特徴は第3拍から始まるアウフタクト(弱起)です。「3-4-1-2」のリズムで、3拍目でジャンプし1-2拍目で着地するようなダンスの動きを表現しています。
演奏のポイントは、冒頭の2音を軽く「鍵盤から離れるように」弾き、3音目(1拍目)でしっかり腕の重さをかけて響かせることです。曲中ではト長調からニ長調、短調への転調が起こりますので、調性の変化を感じながら弾きましょう。後半では右手がレガート、左手がスタッカートという弾き分けが求められます。トリルは上の音から始めるとバロックらしい響きになります。フランス組曲の中でも特に親しみやすく、ブルグミュラー程度で挑戦できる人気曲です。