ハインリッヒ・リヒナー(1829-1898)は、ドイツ・シレジア地方出身の作曲家・オルガニストです。ブレスラウ(現ポーランド・ヴロツワフ)で教会オルガニストや合唱指揮者として活動しながら、ピアノ教育用の小品を数多く残しました。技術的にはやさしくても音楽的な内容は大人っぽく、子どもの心を育てる教育的配慮に満ちた作品が特徴です。
「忘れな草」作品160の6は、ヘ短調、6/8拍子の叙情的な小品です。リヒナーがなぜこの曲名を付けたかは定かではありませんが、彼は「小さな花、小さな葉」Op.64や「色とりどりの花」Op.111など、花の名前をタイトルにした曲集を多く残しています。ドナウ川の畔に咲く花を恋人のために摘もうとした騎士が足を滑らせてしまう。彼は摘んだ花を恋人に投げ「私を忘れないで(forget me not)」という言葉を残して流されてしまった。「忘れな草」という花にはそんな逸話があります。この曲の物悲しい旋律は、そんな切ない物語を思い起こさせます。
曲はABA形式で、哀愁漂うA部分、明るく弾んだ中間部、そしてドラマチックなコーダで静かに幕を閉じます。左手の分散和音は3つを1組として流れるように、右手のメロディは大きなフレーズ感で歌わせることがポイント。素朴で飾らない、小さな青い花のような愛らしさを表現したい一曲です。
| 難易度 | A |
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| ページ数 | 2 ページ |
| MIDI | ![]() |
| ライセンス | Creative Commons Attribution 4.0 |
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